防災とオーラルケア

こんにちは、福井県福井市手寄の歯科医院 英歯科です。

新年初のブログは防災とオーラルケアについてです。
まずは2024年元旦に発生した能登半島地震で被災された皆様へ、当院スタッフ一同心よりお見舞い申し上げます。

防災とオーラルケアの関係性

災害時における食料や水、衛生用品等の重要性は広く知られていますが、実はお口のケアの大切さはあまり知られていません。

なぜ災害時でもオーラルケアが大事なのか?
そのことについて今回のブログでは詳しく解説していきたいと思います。当ブログを参考に、もしもの時のための知識と、そして手元に防災バッグをお持ちの方は是非バッグの中身の見直しもしていただけると嬉しいです!

災害時のオーラルケアはお口だけでなく、
身体全体の健康にも大きく影響します!

大規模災害によって発生する断水、水が不足している中でまず優先されるのは飲料水の確保です。
そんな貴重な水を歯磨きに使うことは躊躇われますよね…

しかし、そんな日々が続いていくとお口の中を清潔に保つことが難しくなります。そうなると、どんどんとお口の中で細菌が増殖していき健康に様々な影響をもたらします。
特に、誤嚥性肺炎になりやすい高齢者の方は注意が必要です!

この結果、どのようなことが起こるか年代層別に簡単に解説すると…

①こども
→避難所に届けられる支援物資には菓子パンなどの甘いものが多いため、歯磨きができないと虫歯になりやすくなります。ですが虫歯になっても歯科医院に行くことは難しいので治療が受けられず、悪化するケースが多いです。

②おとな
→歯周病が進行しやすくなり、基礎疾患や持病をお持ちの方は全身の病気が悪化しやすくなります。特に糖尿病をお持ちの方は注意が必要です。

③高齢者
→お口の機能が弱まったことで増えた細菌が誤って気管に入り、肺炎になりやすくなります(誤嚥性肺炎)。

誤嚥性肺炎…誤嚥をきっかけに口の中の細菌が肺の中に入り込み、肺の中で細菌が増殖して炎症が起こることで引き起こされる病気。

十分にオーラルケアができないことで起こる
リスク

また災害時の水不足だけでなく、避難生活においての栄養不足や睡眠不足、ストレスなども口腔機能が低下しやすい原因だと考えられています。
これらに加えて、入れ歯などを使われている方は入れ歯の紛失や不調などからも誤嚥を引き起こしやすい状況になっていると考えられます。

災害時でもできるオーラルケア

そこで次は、災害時でもできるオーラルケアについて順番に解説していきますね。

水も歯ブラシもないとき

・ハンカチ、ティッシュ、タオルなどを指に巻き付けて歯を拭って汚れを取る。
・口腔内を清潔に保つ働きを持つ「唾液」を出すことも重要。
 顎の付け根(耳の真下部分)を温めたり、指でマッサージをしたりして唾液を出すよう心がけてください。

水が少ないとき

①少量の水(約30mLが目安)をコップに入れます。
②その水で歯ブラシを濡らして歯磨きをします。
③歯ブラシが汚れたらティッシュペーパー(ウェットティッシュがあれば尚良い)で汚れを拭き取り、また歯磨きをします。これを繰り返します。
④最後にコップの水を2~3回に分けてお口に含み、お口をすすぎます。
 *水は一気に含むのではなく、2~3回に分けてすすぎを行うほうがお口の中がきれいになります*

お子さんへのケア

基本のオーラルケアは上記と変わりません。ですが、虫歯予防のためにも余裕があれば保護者の方が仕上げ磨きを行ってください。

入れ歯のケア

使えるお水に余裕があれば、夜寝る前に入れ歯洗浄剤を使用して消毒し、お水に浸しておいてください。
もしお水に余裕がない場合は、毎食後、少なくとも一日に1回はウエットティッシュ(お口専用のであれば尚良い)などで汚れを拭き取ってください。

部分入れ歯の方は、金属部分を歯ブラシや綿棒などを使ってきれいにしてくださいね。

液体歯磨きがあったら

防災バッグの中や支援物資の中にもし液体歯磨きがあればぜひ活用してください!
水でのすすぎは不要で、殺菌剤の効果でお口の中の細菌の増殖を抑えることができます。

①適量(約10mlを目安に)を口に含み、20秒程すすいで口全体にいきわたらせます。
②歯ブラシでブラッシングをします。歯ブラシの代わりにティッシュや布を使って歯を拭っても効果はあります。
③以上で歯磨きは完了です!水ですすぐ必要はありませんが、気になる場合は軽くすすいでも問題ありません。

液体歯磨きの中にはお子さん向けに低刺激のものも発売されています。大人向けの製品だと刺激が強いので、ご家族全員で使う場合はなるべく低刺激のものを準備されるか、心配な方は別でお子さん用製品を準備するのがおすすめです。

歯磨きシートの活用

近年では防災への意識が強まった影響でシートタイプの口腔ケアグッズも発売されています。不織布製で指に巻き付けて使うタイプから指サックの形をしているものもあるので、自分にとって使いやすい製品を選んでみてください。

こちらも液体歯磨きと同じで使用後のうがいは不要です。また、こども向けに刺激の少ない商品も販売されています。こちらは、ベビー用品売り場などで見かけることが多いです。

最後に

災害への備えとしては忘れられがち、後回しにされがちなオーラルケアですが、今回のブログを読まれた方は災害時におけるオーラルケアの重要性に気づけたのではないでしょうか?
口腔ケアグッズはお口の中のトラブルはもちろん、感染症などから身を守るためにも必要不可欠なアイテムです。

自然災害が多発しがちな昨今、避難所生活だけではなく在宅避難生活を余儀なくされる場合もあります。そんな時に自分の身を守れるのは自分だけ…
災害用の備蓄食料などと併せて、是非口腔ケアグッズも準備してくださいね。

最後にはなりますが改めて
この度の能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族様に心からお悔やみ申し上げます。また、被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。

以上、防災とオーラルケアについてでした。

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